できる女性だって揺れ動く中年期      『魂の退社』稲垣えみ子

アフロでニュースステーションに出演してた朝日新聞社の方の処女作です。

といえば、「ああ、あの人」と思い出す方も多いかと思います。

この方が50歳を機に朝日新聞社を辞めるまでと、その後のお話です。

 意識高い系40代の話

彼女は、元々頭がよくて、かなり”意識高い系”だと思います。なので、40代の一般人が会社を辞めるための身の振り方としては参考にならないかもしれませんが、羨ましいくらいになんでもできる人でもこんな風に、私と同じようなことで、もがいたり揺れ動いているんだなと思いました。

 ずっと同じ会社にいると、愛社精神があるわけでもないけど、長年連れ添っただけ感謝する部分もあれば、なんで!?と思うこともありと、ただの「勤務先」ではない感情が会社へでてきます。そういった感覚がない読者からすると「何言っちゃてるの?」と言われかねないような、会社への揺れる気持ちや私だったら隠したい部分をそのまんま書いてあり、すごく素直な方のような気がしました。(もしかしたら、それも戦略的なのかもしれない・・・)

「一生懸命、勉強して、いい会社入って、いいポジションで給料が高くなれば、その分幸せな第二の人生」というわけではなく、今の生活を想定して、将来を考えるのでますます不安になる。

とか、

「会社」という名の仕事やしがらみ、感情、そのために使われるエネルギー。それがすべてなくなった時、そのエネルギーは負のものに変化してしまうかもしれない。

何をしても「昔だったらこんなことはなかったのに」なんてことばっかり考えてしまいそうです。(中略)勝手に惨めな思いに囚われ、情けない気持ちの持っていき場がなく、国が悪いとか、社会が悪いとか、今の若い奴らどうしようもないとか被害者意識がいっぱいになり、歳を重ねるほどに人相の悪いばあさんにいく。・・・

だから、彼女はこう考えたそうです。

生活を縮小して予行演習する「節約」「我慢」ではなく、自分にとって本当に幸せなことを探す。

なんかすっごくわかります!!

彼女とは境遇もまったく違うわたしも、40歳を過ぎ、同じようなことを考え、少しずつだけど、どういう生活がいいのか試行錯誤しています。

家族も養っていかなけれないいけないし、子供や両親の将来も考えて生活していかなければならないから、なんでも身軽にはできません。

でも、できないばかり考えるんじゃなくて(冷蔵庫までなくすのはできないけど)やってみて、できなければやめればいいことだし、この方の場合は「節電」に挑戦だったけど、いろんな生活を、老後になっていない今だからこそ、実験的にやってみてみるのもいおもしろいなと思いました。

  後半の評論めいた部分は、ちょっと「?」でしたが、40代いや30代でも20代でも、「このままでいいのかな」などと、ふと、頭をよぎることがあったら読んでみてください。読んだ後、「なんかやってみよう」っていう気になれます。

 

魂の退社

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