時をためて、楽しみに待つこと        ~『人生フルーツ』を観て

『人生フルーツ』という映画を見てきた。

ひさしぶりに映画館で見た。

短い期間の上映だったが、けっこう入っていた。

東京に行ったときにみたいと思っていたのだが、

偶然、近くの映画館でやるというのを観て、

朝一番で車をとばし、子どもの習い事の最中にみることができた。

人生について、この先について、

自分にとって大切なことってなんだろうか。

映画の最中から、津端夫妻を通じて、自分と話し合っていた。

 

津端夫妻の生き方を見て、

こうありたいと心の中でずっと思い描いていたものが

はっきりと形になってきた。

 幼稚かもしれない

 少女趣味かもしれない

 将来の目標や夢って、

 何かを成し遂げるとか、上昇志向のあるものでなければ

と思い封印していた。

 ・・私は大草原の小さな家のような半自給自足の生活がしたい・・・

 学生の頃もずっと心の底にあったのはそれだった。

ただ、そんなことは幼すぎる。

それは夢物語の夢であって、将来の夢ではない。

ことあるごとにその夢が頭をもたげたが、知らず知らずのうちに心の底に沈めていた。

 

当時は、情報を得る手段もなく、みんな、なんとなく、偏差値の輪切りで受験し、都会へ出た。

 ただただ乗り遅れないように、次に来た電車に最短で乗るように就職した。

きっと、今なら、WWOF使うとか、いろいろ考えることができたかもしれない。

でも、当時、今ほど農的なくらしや日常の生活に目を向けたものを目にすることもなかった。

できない理由を考えていた

 いまからじゃ農的な暮らしなんて無理。

家族で移住なんてできないし、仕事は?収入はどうするの。

エコな生活とか、あんなストイックな暮らしができないならやる資格がない。

  「できないこと」にばかり目を向けていた。

そう思いながら、いつのまにか40代になってしまった。

 

だからといって、実際問題、いろいろ考えると今はできない。

もう、40代でできないなら、もう何も新しいことなんてできないと農的な暮らしはあきらめていた。

映画を観る前は、

津端夫妻は、家柄もよくて、すべて持ってるからできるんだ。

自分たちとは違うんだ。

と思っていた。

それは、事実でもあるけど、やらないための理由にような気がする。

 「ちいさなことから、できることから、コツコツと」

「時をためて、楽しみに待つ」

 心の中にしみいるように、津端さんの言葉が入ってきた。

そうだ、今できないなら、できることをやろう。

そして待てばいい。

人生まだ何十年もあるじゃない。

もっともっと先を・・・

「少女趣味かしらねえ」なんていう津端秀子さんの笑顔が忘れられない。

ずっと少女でいいじゃない。

大草原の母には、さすがに、もうなれないけれど、

大草原のおばあちゃんにはなれる。

 

全く同じようにはできなくても、自分の理想の生活に近づけていくことはできる。

理想の生活をすることが目的ではなく、

理想の生活に近づけていくことを楽しめばいい。

津端夫妻の人生を賭けた、次の世代へのメッセージが

私の心に届いた。

 

少しずつ、少しずつ、時をためて。

 

映画『人生フルーツ』公式サイト

 

  

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あしたも、こはるびより。: 83歳と86歳の菜園生活。はる。なつ。あき。ふゆ。

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