読書感想『大きな鳥にさらわれないよう』川上弘美著

『大きな鳥にさらわれないよう』をよんで

 

大きな鳥にさらわれないよう

大きな鳥にさらわれないよう

 

 

帯なしでいきなり読んだので

どんな話かまったく想像つかず

はじめは話についていくのが

結構大変でした。 

(登場人物の名前がなかなか飲み込めず・・・)

でも、内容はするすると

水のように入っていきます。

 

冒頭の

女たちがガーゼのうすものをまとい

湯あみに出かける場面から

すぐに

川上弘美ワールド」が広がります。

近未来を書いているのだけど

そこに流れているのは

今よりも昔のお話を聞いているような

古典を現代訳したような物語でした。

 

それぞれの視点から描かれた

小さな短編が

最終的につながっていく構成になっていて、

最終的な物語全体のオチは

私は「ふーん」という印象だった。

個人的には

いろいろな意味や警鐘を含めるよりも

ただただ、近未来の今昔物語集のように

終わるほうが

もっと余韻が残った気がしました。

 

結末を追うというよりも

川上弘美独特の

ファンタジーと狂気の間の雰囲気が読みたいので

十分楽しかった。

内田百閒が好き人にもおすすめです。